GL-MT3000『Beryl AX』レビュー|VPN対応トラベルルーター
「旅行におすすめのルーターを教えて!」
「ホテルで安全に無線Wi-Fiを使いたい!どうすればよいの?」
「Wi-Fiルーターで海外のサイトにアクセスする方法を教えて?」
公共施設や喫茶店、旅行先のホテルなどで提供されている有線・無線LANネットワークですが、不特定多数の利用者が同時に接続するため、悪意のある利用者による個人情報の漏洩や通信ログの傍受などのセキュリティーリスクがあります。
公共のインターネットを利用する際のセキュリティー対策としてVPNが利用されますが、複数のデバイスで同時にインターネット使う場合は「VPN対応トラベルルーター」が通常使われています。
本記事では、今現在もっとも高性能で使い勝手の良いVPN対応トラベルルーター「GL-MT3000(Beryl AX)」について、以下の点を解説します。
- VPN対応トラベルルーターの概要
- 「GL-MT3000」の仕様紹介、過去のモデルとの比較
- 「GL-MT3000」の設定方法
この本記事を読むことで、VPN対応トラベルルーター「GL-MT3000(Beryl AX)」を使いこなせるようになります。購入を考えているなら、ぜひ最後までお読みください。
VPN対応トラベルルーターとは
VPN対応トラベルルーターとはVPN接続ができる持ち運び可能なWi-Fiルーターです。事前に登録したVPNに自動でネットワーク接続する機能が備わっています。
VPNルーターとはVPN機能付きのWi-Fiルーターです。事前に登録したVPNに自動でネットワーク接続する機能が備わっています。
VPNルーターの詳しい特徴はこちらをご覧ください。
GL-MT3000のレビュー
GL.iNetのGL-MTシリーズは、OpenWRTをベースにしたファームウェアを搭載したセキュリティに特化したトラベルルーターです。
ルーターやアクセスポイントなどのネットワーク機器向けに開発されたオープンソースのファームウェア。Linuxカーネルをベースとし、多種多様のパッケージや機能が提供されています。
GL.iNetの最新機種「GL-MT3000」は、VPNクライアントやサーバー、ファイアウォール、トラフィック制御などの機能を備えつつ、小型でポータブルがコンセプトで、旅行や出張先での利用に最適なトラベルルーターです。
GL-MT3000と旧機種の比較
GL-MT3000(Beryl AX)は、少々大きめのトラベルルーターGL-AXT1800(Slate AX)に対して、同等の機能ですがコンパクトで持ち運びに最適です。
「GL-MT3000(Beryl AX)」「GL-AXT1800(Slate AX)」の仕様の比較は次の通りです。
仕様 | GL-MT3000 (Beryl AX) | GL-AXT1800 (Slate AX) |
---|---|---|
重量 | 196g | 240g |
サイズ | 106×83×33mm | 125×82×36mm |
インターネットプロトコル | IPv6 | IPv6 |
Wi-Fiプロトコル | 2.4GHz, 5GHz (802.11a/b/g/n/ac/ax) 574Mbps@2.4 GHz 2402Mbps@5 GHz | 2.4GHz, 5GHz (802.11a/b/g/n/ac/ax) 574Mbps@2.4 GHz 1200Mbps@5 GHz |
電源ポート Power port | USB Type-C | USB Type-C |
SoC | MediaTek MT7981B Dual-Core 1.3GHz | Qualcomm IPQ6000 Quad-Core 1.2GHz |
メモリ RAM | DDR4 512MB | DDR3L 512MB |
ストレージ | FLASH 256MB | FLASH 128MB |
WAN端子 | ポート数 x1 1000BASE-T 100BASE-TX 10BASE-T | ポート数 x1 1000BASE-T 100BASE-TX 10BASE-T |
LAN端子 | ポート数 x1 1000BASE-T 100BASE-TX 10BASE-T | ポート数 x2 1000BASE-T 100BASE-TX 10BASE-T |
同時接続台数 | 70台 | 120台 |
技適番号 | R018-220192 | |
メーカー | GL.iNet | GL.iNet |
GL-MT3000

GL-AXT1800

GL-MT3000の特徴
GL-MT3000のオフィシャルセットアップガイドがYouTubeに公開されているので参考にしてください。
次にGL-MT3000の主な特徴は大きく次の通りです。一つ一つ解説していきます。
GL-MT3000のメリット
公共Wi-Fiの暗号化通信
公共の無線Wi-FiをWANとして使い、VPN接続して中継機として無線LANが利用できます。
有線LANの無線ルータ化
有線WANポートを介して、ホテル等で利用できるLANネットワークを無線Wi-Fiとしてアクセスポイント化できます。
シームレスに検閲を回避
事前にGL-MT3000に設定したVPNへ自動的に接続するため、検閲がかかっている場合もシームレスにインターネット利用ができます。
通信制限を確実に回避するには、自身でVPN設定する自宅VPNサーバがおすすめです。自宅VPNサーバの構築方法はこちらの記事を参考にしてください。
便利なトグル・スイッチ

GL-MT3000にはかんたんに機能を切り替えするためのトグル・スイッチが付きます。トグルは設定次第で、以下のアレンジができます。
- VPN / Torの切り換え
- OpenVPN / WireGuardの切り替え
無線Wi-Fiの同時接続:70台
GL-MT3000一台で、同時に70台のワイヤレスデバイスに接続できます。
GL-MT3000のデメリット
GL-MT3000は、高機能かつコンパクトであることから、十分な機能性を備えています。ただし、使いこなすための難易度が高いのが唯一の欠点となります。
OSがLinuxベースのため中上級者向け
GL-MT3000は、OpenWRTオペレーティングシステムを採用しているため、拡張性に優れてる反面、さまざまなプラグインやアプリケーションを自身で追加が必要です。
OpenWRTはLinuxベースのオペレーティングシステムです。したがって、機能拡張はLinuxコマンドやスクリプトを使うため、初心者には難易度が高いです。
GL-MT3000の設定手順
Micro USB Type-Cのパワーケーブルを本体に差し込みます。
以下の接続をした状態で、「http://192.168.8.1/」にアクセスしてログインします。
イーサネットで接続する場合
PCとルーター(LANポート)間にイーサネットケーブル(LANケーブル)で接続します。
Wi-Fiで接続する場合
スマホやPCから、ルーター固有のSSIDに接続します。
デフォルトパスワード : goodlife
現在お使いのVPNプロバイダが提供している「OpenVPN構成ファイル」あるいは「WireGuard構成ファイル」をGL-MT3000にアップロードして、VPNのログインIDやパスワードなどを入力すると設定完了です。
接続したいVPNサーバーのロケーションごとに設定が必要です。
海外から日本のVPNサーバーへ接続する場合は、日本の VPNサーバーの構成ファイルを設定します。
GL-MT3000に関するよくある質問と回答
以下に、GL-MT3000に関するよくある質問と回答をまとめました。
- WireGuardってなに?
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WireGuardは、VPN接続を行うための新しいプロトコルです。高速で安全、しかも設定がシンプルな点が大きな特徴です。
WireGuardの特徴とメリット・デメリットはこちらの記事で詳しく解説しています。
- VPN接続でインターネット速度は遅くなる?
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VPNを使うと、データが暗号化されるため通信速度が少し落ちることがあります。ただし、WireGuardは非常に効率的なプロトコルなので、その影響は最小限に抑えられます。
- ルーターのファームウェアを更新する方法は?
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ルーターの管理画面にログインし、[システム] > [ファームウェアアップデート]の項目を開き、画面の指示に従って更新します。アップデート中は電源を切らないよう注意してください。
- 中国GFWの回避方法は?
-
GL-AXT1800はOpenWrtをベースにしているため、UCSSの提供する「UCSS for OpenWrt」をインストールすることでShadowsocksが利用でき、中国のGFW回避に最適なルーターとなります。
まとめ
この記事ではトラベルルーターの最新機種「GL-MT3000」の解説をしました。
本機種の特徴は、コンパクト、軽量かつ高機能で、トラベルルーターとして今後先長く利用できるデバイスです。
VPN対応トラベルルーターの購入を検討しているなら、この機種を選んでおけば間違いないです。
- 公衆Wi-Fiを安全に利用したい
- ホテルなどの外出先で複数のデバイスで同時にインターネットしたい
- 検閲の厳しい国に渡航予定
- 中国の検閲対策でShadowsocksを使う予定