Raspberry Pi

初心者でも安心!ラズパイの日本語入力を設定する全手順【文字化けも怖くない】

草壁シトヒ
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ラズパイ(Raspberry Pi)を手に入れたものの、日本語入力ができなくて困っていませんか。ウェブサイトの検索やプログラミングのコメント、ファイル名の設定など、日本語が使えないと不便な場面はたくさんあります。実は、いくつかの簡単なステップを踏むだけで、あなたのラズパイは快適な日本語環境に生まれ変わります。

私がラズパイを使い始めた頃も、設定方法が分からず苦労した経験があります。特に、文字化けしてしまったり、キーボードの記号が思った通りに入力できなかったりすると、そこで作業が止まってしまいます。

この記事では、そんな初心者の方向けに、ラズパイの日本語入力設定の全手順を、コマンドを交えながら分かりやすく解説します。最新OS「Bookworm」で発生しがちな特有の問題にも触れているので、この記事を読めば、もう日本語入力で悩むことはありません。

日本語入力の土台作り|基本設定の3ステップ

日本語入力システムを導入する前に、OSが日本語を正しく扱えるようにするための準備が必要です。この土台作りをしっかり行うことで、後のトラブルを未然に防ぎます。

ステップ1|システムを日本語対応にするロケール設定

ロケール設定は、システム全体で使用する言語や地域を指定する重要な設定です。これを日本語にすることで、メニュー表示が日本語になり、文字化けを防ぐ基盤が整います。

GUI(グラフィカルなデスクトップ画面)での設定は簡単です。

  1. 画面左上のラズベリーパイのアイコンから「設定」>「Raspberry Pi の設定」を開きます。
  2. 「Localisation」タブを選択し、「Set Locale…」ボタンをクリックします。
  3. Languageは「ja (Japanese)」、Countryは「JP (Japan)」、Character Setは「UTF-8」を選択して「OK」をクリックします。
  4. 再起動を促されたら「Yes」を選択して、ラズパイを再起動します。

ターミナル(CUI)で設定する場合は、以下のコマンドを実行します。

Bash

sudo raspi-config

「Localisation Options」>「Locale」と進み、「ja_JP.UTF-8 UTF-8」にチェックを入れてデフォルトに設定します。これでシステムが日本語を基本言語として認識するようになります。

ステップ2|キーボードの刻印通りに入力するレイアウト設定

物理的な日本語キーボードを接続しても、OS側がそれを認識していないと、キーに印字された記号と実際に入力される記号がずれることがあります。例えば、「@」を打とうとしたのに「[」が入力されるのはこのためです。

この設定も「Raspberry Pi の設定」から行います。

  1. 「設定」>「Raspberry Pi の設定」を開きます。
  2. 「Localisation」タブの「Set Keyboard…」をクリックします。
  3. 国で「日本」、バリアントで「日本語 (OADG 109A)」を選択し、「OK」をクリックします。

これで、キーボードの刻印通りに文字が入力されるようになります。

ステップ3|文字化けを防ぐ日本語フォントの導入

ロケールを設定しても、日本語を表示するためのフォントが入っていなければ、文字が四角い豆腐のような記号(文字化け)で表示されます。美しく読みやすい日本語を表示するために、日本語フォントをインストールします。

私がおすすめするのは「Noto CJK JP」というフォントファミリーです。ターミナルを開いて、以下のコマンドを実行するだけでインストールできます。

Bash

sudo apt update
sudo apt install fonts-noto-cjk -y

インストールが完了したら、「設定」>「外観の設定」を開きます。「システム」タブのフォントを「Noto Sans CJK JP Regular」に変更すると、より自然な日本語表示になります。

かな漢字変換を有効に!日本語入力システム(IME)の導入

ここまでの設定で日本語の表示は完璧になりました。次はいよいよ、日本語を入力し、かな漢字変換を行うための「日本語入力システム(IME)」を導入します。

おすすめはこれ!Fcitx-Mozcのインストール手順

ラズパイで利用できるIMEにはいくつか種類がありますが、現在最も推奨されているのが「Fcitx-Mozc」です。Google日本語入力のオープンソース版をベースにしており、賢い変換性能が魅力です。

インストールは、ターミナルで以下のコマンドを一行実行するだけです。

Bash

sudo apt install fcitx5-mozc -y

インストールが完了したら、一度ラズパイを再起動します。再起動後、画面右上にキーボードのアイコンが表示されれば、正常にインストールされています。

Fcitx-Mozcの初期設定と使い方

インストールしただけでは、まだ英語キーボードとして認識されている場合があります。簡単な初期設定で、日本語キーボードに最適化しましょう。

  1. 画面右上のキーボードアイコンを右クリックし、「設定」を選びます。
  2. 「入力メソッド」タブが開かれていることを確認します。
  3. 一覧にある「キーボード – 英語(US)」を選択し、下の「-」ボタンで削除します。
  4. 下の「+」ボタンを押し、「日本語」を検索して「キーボード – 日本語」を追加します。
  5. 「キーボード – 日本語」と「Mozc」がリストに並んでいることを確認します。

これで設定は完了です。入力の切り替えは、キーボードの「半角/全角」キー、または「Ctrl + Space」で行えます。実際にテキストエディタなどを開いて、日本語が入力できるか試してみましょう。

その他の選択肢|iBusとは

Fcitxの他に、「iBus」というフレームワークも広く使われています。Fcitx-Mozcでうまく動作しない場合に試す価値があります。iBusを使う場合は、AnthyやMozcといった変換エンジンと組み合わせてインストールします。

フレームワーク変換エンジン特徴
Fcitx5Mozc現在の主流。高機能で賢い変換。
iBusMozciBus上でMozcエンジンを利用。
iBusAnthy軽量で古くからある安定したエンジン。

もしFcitxで問題が起きた場合は、sudo apt install ibus-mozcsudo apt install ibus-anthy といったコマンドでiBusベースの環境を構築することもできます。

最新OS特有の問題を解決!BookwormとWayland環境への対応

ラズパイの最新OS「Bookworm」からは、ディスプレイサーバーという画面表示を管理する仕組みが、従来の「X11」から新しい「Wayland」に変わりました。これにより、一部のアプリケーションで日本語入力がうまくできない問題が報告されています。

なぜ?Wayland環境で日本語入力できない原因

Waylandはセキュリティやパフォーマンスの面で優れた新しい技術ですが、まだ発展途上な部分もあります。特に、古いアプリケーションや一部のIMEフレームワークがWaylandの新しい仕組みに完全に対応しきれていないことが、日本語入力問題の原因です。

私が経験した中では、特にChromiumブラウザで日本語入力が有効にならないケースが多く見られました。これはラズパイ特有の問題ではなく、Linuxデスクトップ環境全体が抱える過渡期の課題といえます。

確実な解決策|ディスプレイサーバーをX11に戻す方法

もしWayland環境での日本語入力に問題が起きた場合、最も確実で簡単な解決策は、実績があり安定している従来の「X11」にディスプレイサーバーを切り替えることです。

ターミナルで以下のコマンドを実行し、設定ツールを起動します。

Bash

sudo raspi-config
  1. 「Advanced Options」を選択します。
  2. 「Wayland」を選択します。
  3. 「X11」を選択して「OK」をクリックします。
  4. 再起動を促されるので、システムを再起動します。

これだけで、表示の仕組みがX11に戻り、多くの場合、日本語入力の問題は解決します。私が試した限りでは、この方法でほとんどのIMEが安定して動作するようになりました。

アプリごとの対策|Chromiumで日本語入力する裏ワザ

どうしてもWayland環境を使い続けたい、あるいはX11に切り替えてもChromiumで問題が解決しない場合は、特別な起動オプションを試す方法があります。

ターミナルから以下のコマンドでChromiumを起動してみてください。

Bash

chromium-browser --gtk-version=4

この --gtk-version=4 というオプションを付けることで、Wayland環境でもChromiumで日本語入力ができるようになる場合があります。毎回コマンドを打つのが面倒な場合は、ショートカットの設定ファイルにこのオプションを書き込んでおくこともできます。

もっと快適に!高度な設定とトラブルシューティング

基本的な設定が完了したら、次はより快適に使うためのカスタマイズや、万が一のトラブルに備えた解決策を知っておきましょう。

自分好みにカスタマイズ|キー割り当ての変更とユーザー辞書登録

IMEの使いやすさは、キー設定や辞書の賢さで大きく変わります。Fcitx-Mozcでは、これらの設定を細かくカスタマイズできます。

キー割り当ての変更

パネルのキーボードアイコンを右クリックし、「Mozc」にカーソルを合わせ、「設定ツール」を開きます。「キー設定の選択」から好みのキーマップを選んだり、直接編集したりして、自分が使いやすいキーバインドに変更できます。

ユーザー辞書登録

よく使う専門用語や名前、顔文字などを辞書に登録しておくと、一発で変換できて非常に便利です。同じくMozc設定ツールから「辞書ツール」を起動し、単語の「よみ」と「単語」を登録します。私は、この機能を使って定型文やメールアドレスなども登録し、入力を効率化しています。

よくある問題の解決策|困ったときはここをチェック

設定がうまくいかない場合でも、原因を切り分けて対処すれば必ず解決できます。よくある3つの問題とその解決策をまとめました。

文字が四角になる(文字化け)

これは日本語フォントがインストールされていないか、ロケール設定が不完全な場合に起こります。

  • 対策sudo apt install fonts-noto-cjk を実行して日本語フォントをインストールします。併せて、raspi-config でロケールが ja_JP.UTF-8 になっているか再確認しましょう。

記号が違う場所に入力される(キーボード配列の誤認識)

キーボードレイアウトの設定が英語(US)配列のままになっているのが原因です。

  • 対策|「Raspberry Pi の設定」からキーボードレイアウトを開き、「日本 日本語 (OADG 109A)」に設定し直します。

日本語入力に切り替えられない(IMEの起動不良)

IMEのインストールや設定に問題があるか、Wayland環境との相性問題が考えられます。

  • 対策|IME(Fcitx-Mozc)が正しくインストールされているか確認し、システムを再起動します。それでもダメな場合は、sudo raspi-config でディスプレイサーバーを「X11」に切り替えてみてください。

まとめ

ラズパイで快適な日本語環境を整えるには、いくつかのステップを踏む必要があります。ロケール、キーボード、フォントという基礎的な設定を確実に行い、その上でFcitx-Mozcのような日本語入力システム(IME)を導入することが成功の鍵です。

最新OSのBookwormではWayland環境が原因で日本語入力に問題が出ることがありますが、その際は安定したX11環境に切り替えることで、ほとんどの問題を回避できます。この記事で紹介した手順を一つずつ試していけば、初心者の方でも必ず日本語入力ができるようになります。

快適な日本語環境を手に入れて、あなたのラズパイプロジェクトをさらに楽しいものにしてください。

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