TP-Link

TP-Linkが「接続済み」なのに「インターネット接続なし」になる原因と対処法

草壁シトヒ
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TP-LinkのWi-Fiに接続しているはずなのに、なぜかインターネットが利用できない。「接続済み」と表示されているにもかかわらず、ウェブサイトが読み込めないこの状況は、多くの人が一度は経験する問題です。この現象は、お使いのスマートフォンやPCとTP-Linkルーターは正常に通信できているものの、その先のインターネット回線への接続に何らかのトラブルが発生していることを示しています。

この記事では、私が長年の経験で培った知識を基に、この「インターネット接続なし」問題を解決するための手順を、初心者にも分かりやすく、かつ網羅的に解説します。簡単な確認作業から始め、順を追って設定を見直していくことで、ほとんどのケースで原因を特定し、解決に導きます。一つずつ確認していきましょう。

まずは5分で確認|基本的な障害切り分け

複雑な設定に手を付ける前に、誰でもすぐにできる確認作業から始めます。問題の原因がどこにあるのかを特定することが、解決への一番の近道です。

ルーターのLEDランプで状態を確認する

TP-Linkルーター本体のLEDランプは、現在の状態を教えてくれる重要なサインです。私がトラブルシュートを行う際も、まずこのランプの色と状態をチェックします。特に地球儀のマークが付いた「インターネットLED」に注目してください。

製品シリーズLEDインジケーター色と状態意味
Archerシリーズインターネット (地球儀アイコン)緑色(点灯/点滅)インターネット接続成功
オレンジ色(点灯/点滅)WAN接続失敗(IPアドレス取得不可)
消灯WANポート未接続
DecoシリーズステータスLED白色(点灯)インターネット接続成功
赤色(点灯)インターネット接続失敗

ランプがオレンジ色や赤色の場合、ルーターがインターネットに接続できていない証拠です。この記事の手順を順番に進めてください。ランプが緑色や白色で正常なのに繋がらない場合は、PCやスマホ側の問題か、後述するDNSの問題の可能性があります。

問題はどこにある?|原因の切り分け方法

次に、問題が特定のデバイスにあるのか、それともルーターや回線全体の問題なのかを切り分けます。この手順で、無駄な作業を大幅に減らせます。

  1. 複数のデバイスで試すお使いのスマホ以外に、PCやタブレットなど、別の端末でもWi-Fiに接続してインターネットが使えるか試します。もし他のデバイスが問題なく接続できるなら、原因は最初に試したデバイス側にあります。そのデバイスの再起動やネットワーク設定の見直しをしてください。
  2. ルーターをバイパスして接続するどのデバイスも接続できない場合、最も確実な切り分け方法がこれです。TP-LinkルーターのWANポート(通常は青色)に接続されているLANケーブルを抜き、そのケーブルを直接PCのLANポートに繋ぎます。この接続変更後、インターネット回線の終端装置であるモデムの再起動が必要な場合があります。

PCが直接インターネットに接続できた場合、原因はTP-Linkルーターにあると断定できます。安心して次のステップに進んでください。もしPCでも接続できなければ、問題はモデムかインターネット回線自体にあります。その際は、契約しているプロバイダの障害情報を確認するのが賢明です。

設定変更の前に試す|基本的なトラブルシューティング

ルーターの設定画面を開く前に、試すべき簡単で効果的な対処法がいくつかあります。多くの一時的な不具合は、これで解決します。

正しい順番で再起動する|パワーサイクル

ネットワーク機器の調子が悪い時、私が必ず行うのが「パワーサイクル」です。単なる再起動ではなく、正しい順序で行うことが非常に重要です。

  1. モデム、TP-Linkルーター、PCなど、関連する全ての機器の電源を切ります。
  2. 全ての電源ケーブルをコンセントから抜いて、60秒以上待ちます。この放電時間が機器を完全にリセットします。
  3. モデムの電源だけを入れ、ランプが安定するまで2~3分待ちます。モデムがプロバイダと完全に通信を確立するまで待つことが重要です。
  4. モデムのランプが安定したら、TP-Linkルーターの電源を入れ、こちらもランプが安定するまで2~3分待ちます。
  5. 最後にPCやスマホの電源を入れ、インターネット接続を確認します。

この正しい手順での再起動は、機器同士の通信タイミングを正常化させ、多くの接続問題を解決に導きます。

ケーブルの接続と電源を確認する

見落としがちですが、物理的な接続ミスは意外と多い原因です。

  • ポートの確認|モデムからのLANケーブルが、TP-Linkルーターの青色の「WAN」または「Internet」ポートにしっかり差し込まれているか確認します。黄色のLANポートに誤って接続していないか見てください。
  • ケーブルの状態|LANケーブルが抜けていたり、緩んでいたりしないか確認します。別のケーブルがあれば、交換して試すのも有効な手段です。
  • 電源アダプター|TP-Linkルーターに付属していた純正の電源アダプターを使用しているか確認します。電圧や電流が違うアダプターを使うと、動作が不安定になる原因となります。

PCやスマホ側の設定を見直す

ルーターではなく、接続しようとしているデバイス側の単純なミスが原因のこともあります。

  • 機内モード|スマートフォンやノートPCが、意図せず機内モードになっていないか確認します。
  • 正しいWi-Fiを選択しているか|接続しようとしているWi-FiのSSID(ネットワーク名)が、自宅のTP-Linkのものであることを確認します。近隣のWi-Fiに自動接続しているケースもあります。
  • ネットワーク設定の再接続|一度デバイスのWi-Fi設定からネットワーク情報を「削除」し、パスワードを再入力して接続し直します。これで接続情報がリフレッシュされ、問題が解決することがあります。

最も多い原因|ルーターの管理画面から設定を修正する

基本的な確認で解決しない場合、いよいよルーターの設定を見直します。「インターネット接続なし」のほとんどの原因は、ここの設定ミスに集約されます。

ルーターの管理画面にログインする方法

設定変更のためには、ルーターの管理画面にアクセスする必要があります。

  1. PCやスマホを、TP-LinkルーターのWi-FiまたはLANケーブルで接続します。
  2. ウェブブラウザを開き、アドレスバーに「http://tplinkwifi.net」または「http://192.168.0.1」と入力してアクセスします。
  3. ログイン画面が表示されたら、パスワードを入力します。初期設定時に自分で決めたパスワードか、旧モデルでは「admin」の場合があります。

スマホから設定する場合は、専用アプリ「Tether」や「Deco」を使うと便利ですが、全ての詳細設定ができるわけではないため、PCのブラウザからのアクセスが確実です。

二重ルーター問題を解決|動作モードを切り替える

私がこれまで見てきた中で、特に光回線ユーザーに最も多い原因が「二重ルーター」です。これは、プロバイダから提供された機器(ホームゲートウェイなど)に既にルーター機能があり、その下にTP-Linkルーターを接続することで、家庭内にルーターが2台存在してしまう状態を指します。

この状態を解消するには、TP-Linkルーターの動作モードを「ルーターモード」から「アクセスポイント(AP)モード」または「ブリッジモード」に切り替える必要があります。

  1. ルーターの管理画面にログインします。
  2. 「詳細設定」メニューから「動作モード」を探します。
  3. 「アクセスポイントモード」を選択して保存し、ルーターが再起動するのを待ちます。

これにより、TP-Linkルーターはルーティング機能を停止し、純粋なWi-Fiの電波を飛ばす機械として動作します。auひかりやNURO光など、ルーター機能付きのモデムが提供される回線では、この設定が必須です。

プロバイダに合わせる|WAN接続タイプの設定

お使いのインターネット回線が、モデムのみを提供するタイプ(二重ルーターではない)の場合、この「WAN接続タイプ」の設定が最も重要です。ルーターに、プロバイダとの正しい接続方法を教えてあげる必要があります。

管理画面の「ネットワーク」から「インターネット」または「WAN」の項目を開き、契約しているプロバイダに合わせて接続タイプを選択します。

接続タイプ主な利用シーン必要な情報
動的IP (DHCP)ケーブルテレビ回線(J:COMなど)、多くのマンション備え付け回線不要(自動取得)
PPPoEフレッツ光系の光回線(ドコモ光、ソフトバンク光など)プロバイダ発行のユーザー名とパスワード
IPoE (v6プラスなど)高速な次世代接続サービスを利用する光回線不要(自動認証)

契約書類を確認し、正しい接続タイプを選択してください。特にPPPoE接続の場合、ユーザー名やパスワードの入力ミスが接続できない直接の原因になります。

IPv6設定の確認と調整

最近のインターネット接続ではIPv6という新しい通信規格が使われることが増えています。v6プラスなどのIPoE接続を利用している場合はIPv6が必須ですが、それ以外の接続方式で問題が発生している場合、一時的にIPv6機能を無効にすることで問題が解決するか試す価値があります。

設定は管理画面の「詳細設定」内にある「IPv6」から行えます。ここで機能の有効化や無効化、接続タイプの変更ができます。

さらに高度な設定で安定性を向上させる

基本的な設定が正しいにもかかわらず接続が不安定な場合、以下の少し高度な設定を見直すことで問題が解決することがあります。

DNS設定の変更でサイト表示を速くする

インターネットには接続できているはずなのに、特定のウェブサイトが開けなかったり、全体的に表示が遅かったりする場合、DNSサーバーに問題があるかもしれません。DNSとは、ウェブサイトのアドレスをPCが理解できるIPアドレスに変換する、いわば「インターネットの電話帳」です。

プロバイダが提供するDNSが不安定な場合、Googleが無料で提供しているパブリックDNSに変更することで、安定性と速度が向上します。

  1. ルーター管理画面の「詳細設定」から「ネットワーク」|「DHCPサーバー」に進みます。
  2. 以下のDNSアドレスを手動で設定します。
    • プライマリDNS| 8.8.8.8
    • セカンダリDNS| 8.8.4.4
  3. 設定を保存し、ルーターを再起動します。

MACアドレスクローンで接続を確立する

一部のケーブルテレビ系のインターネットサービスでは、最初に接続した機器のMACアドレス(個々の機器に割り当てられた固有の識別番号)を記憶し、それ以外の機器からの接続をブロックする仕組みになっていることがあります。

新しいTP-Linkルーターに交換した際に繋がらなくなった場合は、この機能「MACアドレスクローン」を試します。これは、以前使っていたPCのMACアドレスをルーターにコピー(偽装)させる機能です。

  1. 以前ネットに接続できていたPCを、TP-LinkルーターにLANケーブルで接続します。
  2. 管理画面の「詳細設定」|「ネットワーク」|「インターネット」内にある「MACクローン」を開きます。
  3. 「現在のコンピューターのMACアドレスをクローン」を選択し、保存します。

ファームウェアを最新の状態に保つ

ファームウェアは、ルーターを制御しているソフトウェアです。これを最新の状態に保つことで、性能の改善やセキュリティの強化、不具合の修正が期待できます。

管理画面の「システムツール」から「ファームウェア アップグレード」を選択し、「更新の確認」をクリックすることで簡単にアップデートを実行できます。アップデート中は絶対にルーターの電源を切らないでください。

それでも解決しない場合の最終手段

ここまでの全ての手順を試しても問題が解決しない場合、原因はルーターの外部にあるか、より抜本的な対策が必要です。

プロバイダ(ISP)の障害情報を確認する

自分の環境に問題がないと確信したなら、契約しているインターネットサービスプロバイダ(ISP)側で通信障害やメンテナンスが発生していないか確認しましょう。スマホのモバイルデータ通信などを使って、プロバイダの公式サイトにある障害情報をチェックします。

プロバイダ側で障害が発生している場合、ユーザー側でできることはありません。復旧を待つしかありません。

工場出荷時設定へのリセット

いろいろと設定を変更した結果、かえって状況が悪化してしまった場合、ルーターを「工場出荷時設定」にリセットするのが有効です。これにより、全てのカスタム設定が消去され、購入時の状態に戻ります。

ルーター本体の背面にある小さな「Reset」ボタンを、クリップの先などで10秒ほど長押しするとリセットが実行されます。ただし、Wi-Fiのパスワードやプロバイダの接続情報(PPPoEなど)も全て消えてしまうため、再設定に必要な情報が手元にあることを必ず確認してから行ってください。

ハードウェアの故障を疑う

以下の症状が見られる場合、残念ながらルーター本体の物理的な故障が考えられます。

  • 頻繁に勝手に再起動する
  • 正しい設定をしても接続が頻繁に切れる
  • 電源を入れてもランプが正常に点灯しない
  • 工場出荷時リセットと再設定を行っても問題が解決しない

一般的なWi-Fiルーターの寿命は5年程度と言われています。長年使用している場合は、買い替えを検討する時期かもしれません。保証期間内であれば、TP-Linkのサポートに連絡して交換を相談しましょう。

まとめ

TP-Linkルーターで「インターネット接続なし」と表示される問題は、様々な原因が考えられますが、一つずつ順を追って確認することで、必ず解決の糸口が見つかります。

私が推奨するトラブルシューティングの基本的な流れは以下の通りです。

  1. 物理的な確認|LEDランプの色、ケーブルの接続、正しい順序での再起動を試す。
  2. 原因の切り分け|複数のデバイスやルーターのバイパス接続で、問題箇所を特定する。
  3. 設定の確認|特に「動作モード(二重ルーター)」と「WAN接続タイプ(PPPoEなど)」が、ご自身の環境に合っているかを見直す。
  4. 最終手段|プロバイダの障害情報を確認し、最終的に工場出荷時リセットを試す。

多くの場合、問題はルーターの設定ミスに起因します。この記事で紹介した手順が、あなたのインターネット接続問題を解決する一助となれば幸いです。焦らず、一つずつ着実に確認作業を進めていきましょう。

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