TP-Link

『TP-Link』はどこの国のメーカーか知ってる?安全性や評判、本社情報を詳しく調査

草壁シトヒ
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TP-Linkというメーカー名、Wi-Fiルーターを探しているとよく見かけます。私がネットワーク機器を選ぶ際にも、「安くて高性能」という評判は頻繁に耳にします。しかし同時に、「どこの国の製品なんだろう?」「セキュリティは大丈夫?」といった疑問を持つ方も少なくないでしょう。

メーカーの信頼性は、快適なインターネット環境を築く上で非常に重要なポイントです。そこで今回は、世界的なネットワーク機器メーカーであるTP-Linkの正体に迫ります。そのルーツから現在の本社情報、安全性や市場での評判まで、私が徹底的に調査しました。この記事を読めば、TP-Linkがどのような企業なのか、そして安心して製品を選べるのかが明確になります。

結論|TP-Linkは中国で生まれ、世界で事業を展開するグローバル企業

TP-Linkの国籍を一口で説明するのは、実は少し複雑です。結論から言うと、TP-Linkは中国で創業されましたが、現在は経営の拠点を世界に分散させているグローバル企業です。

創業は中国、現在は2本社体制

TP-Linkの物語は1996年に中国・深圳で始まりました。この地で生まれた企業が、今や世界的なネットワーク機器メーカーへと成長したのです。

重要な点は、その後の企業構造の大きな変化です。TP-Linkは2024年に組織再編を完了し、現在は米国とシンガポールに本社機能を置く「2本社体制」へと移行しています。創業の地である中国の法人とは、2022年に事業を分離しており、法的に独立した事業体として活動しています。

本社所在地主な機能
米国本社カリフォルニア州アーバイン研究開発、技術マーケティング
シンガポール本社シンガポールオペレーションマネジメント

このように、研究開発やマーケティング戦略の拠点をアメリカに、そしてグローバルな運営管理の拠点をシンガポールに置くことで、地域に縛られないグローバルな経営戦略を推進しています。

なぜ「どこの国か分からない」と言われるのか

TP-Linkの国籍が分かりにくい理由は、このダイナミックな企業構造の変化にあります。多くの人が持つ「創業地=その会社の国」というイメージと、現在のグローバルな経営実態との間にギャップがあるからです。

「中国企業」という認識を持つ人がいる一方で、公式サイトではシンガポール本社が強調されていた時期もあり、情報が混在していました。2024年に米国・シンガポールの2本社体制が正式に発表されたことで、そのグローバルな立ち位置がより明確になったと言えます。つまり、TP-Linkは中国というルーツを持ちながら、世界市場で戦うためにその姿を変化させ続けている企業なのです。

TP-Linkの企業情報と歴史

TP-Linkがどのようにして現在の地位を築いたのか、その歩みを詳しく見ていきましょう。創業からグローバル企業へと変貌を遂げるまでの歴史には、同社の戦略が明確に表れています。

1996年に中国・深圳で創業

TP-Linkは、1996年に趙建軍氏と趙佳興氏によって中国・深圳で設立されました。「中国のシリコンバレー」とも呼ばれるこの都市で、TP-Linkは産声を上げたのです。

創業当初から無線LANルーターなどのネットワーク製品に特化し、深圳の強力な製造業基盤を活かして、コストパフォーマンスに優れた製品を次々と開発しました。この「価格競争力」と「生産能力」が、後の急成長の大きな原動力となります。

グローバル展開と本社機能の変遷

中国国内で成功を収めたTP-Linkは、その目を世界市場へと向けます。このグローバル化の過程で、本社機能や組織構造も大きく変化を遂げていきました。

シンガポールへの進出

TP-Linkは早くから国際展開を見据えており、2005年にはシンガポールに法人を設立しました。シンガポールはアジアのハブとして、物流や金融の面で大きな利点を持つ都市です。このシンガポール法人が、後のグローバルなオペレーション管理の基盤となっていきます。

2022年の事業分離

企業としての大きな転換点が、2022年初頭に行われた事業分離です。この時、現在のTP-Linkグループは、創業法人である中国のTP-LINK Technologies Co., Ltd.から正式に分離しました。この分離には、従業員、研究開発、生産、マーケティングなど全てが含まれており、完全に独立したグローバル企業としての道を歩み始めます。

2024年の米国・シンガポール2本社体制へ

事業分離に続く大きな動きが、2024年5月に完了した2本社体制への移行です。研究開発と技術マーケティングを米国本社が、オペレーションマネジメントをシンガポール本社が担うという、明確な役割分担がなされました。この体制は、最先端技術が集まる米国と、国際ビジネスの中心地であるシンガポールの長所を最大限に活用する戦略と言えます。

TP-Link製品の安全性と評判

多くの人が気になるのは、製品の実際の性能と安全性でしょう。私が調査した市場での評判と、セキュリティに関する取り組みを詳しく解説します。

市場での評判|「安くて高性能」は本当か?

TP-Link製品は、世界中で高いシェアを誇ります。その理由は、多くのユーザーが評価するコストパフォーマンスの高さにあります。

ポジティブな評判

TP-Link製品に対する最も多い評価は「安くて高性能」というものです。同価格帯の他社製品と比較しても遜色のない性能を持ち、設定の簡単さやデザイン性を評価する声も多く見られます。

このコストパフォーマンスの高さは、販売実績にもはっきりと表れています。

  • 無線LAN機器の分野で12年連続世界シェアNo.1を獲得(2023年時点)
  • 日本のWi-Fi 6ルーター市場でも高い販売シェアを記録
  • BCN AWARDのPCカメラ部門で2年連続シェアNo.1(2025年)

これらの実績は、世界中の多くのユーザーから支持されていることの証です。

ネガティブな評判

一方で、その出自に対するネガティブな意見も存在します。「中国メーカーであること」に対して、品質やセキュリティ面での漠然とした不安を感じるという声が一定数あるのは事実です。

「安かろう悪かろう」というイメージや、ネットワーク機器という性質上、データの取り扱いに関する懸念が、一部のユーザーの購入をためらわせる要因になっています。

セキュリティへの取り組みと懸念点

ネットワークに接続する機器だからこそ、セキュリティは最も重要な要素の一つです。TP-Linkは、企業の信頼性を高めるために様々な取り組みを行っています。

国際的なセキュリティ認証の取得

TP-Linkは、自社のセキュリティ体制が国際基準に準拠していることを示すために、複数の認証を取得しています。

  • ISO/IEC 27001|情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格
  • ISO/IEC 27701|プライバシー情報マネジメントシステムの国際規格

これらの認証取得は、同社がデータ保護とプライバシー保護を重視し、強固な管理体制を構築していることを示しています。脆弱性が発見された際の迅速な情報公開や、対策ファームウェアの提供なども積極的に行っており、企業としての責任を果たそうとする姿勢が見えます。

米国での国家安全保障上の懸念

その高い市場シェアゆえに、地政学的な観点から厳しい視線を向けられることもあります。2025年には、一部の米国議員が、TP-Link製品が国家安全保障上のリスクをもたらす可能性があるとして、米国内での使用禁止を求める動きを見せました。

これに対し、TP-Link側は「完全に虚偽」であると強く反論しています。このような外部からの圧力も、同社が中国法人からの分離や2本社体制への移行を加速させた一因と考えられます。グローバル企業として、特定の国に依存しない透明性の高い経営を目指すことで、こうした懸念を払拭しようと努めているのです。

まとめ

TP-Linkは、中国・深圳で創業し、今や世界170以上の国・地域で製品を販売するグローバル企業です。その国籍は、創業地の「中国」という一面と、現在の経営体制である「米国・シンガポールに本社機能を置くグローバル企業」という二つの側面から理解する必要があります。

「安くて高性能」という評判は、世界No.1のシェアが証明しており、多くのユーザーにとって魅力的な選択肢であることは間違いありません。セキュリティに関しても、国際認証の取得や迅速な脆弱性対応など、企業として信頼性を高める努力を続けています。私が今回の調査を通して感じたのは、TP-Linkがその出自によるイメージを乗り越え、真のグローバルテクノロジー企業へと脱皮しようとする強い意志です。この記事が、あなたのWi-Fiルーター選びの一助となれば幸いです。

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