全モデル徹底比較!『ラズパイ』の消費電力は?電気代から節約術まで完全解説
Raspberry Pi(ラズベリーパイ、通称ラズパイ)は、電子工作やサーバー構築、プログラミング学習など、アイデア次第で無限の可能性を秘めた小型コンピューターです。私も様々なプロジェクトで活用していますが、多くの人が気になるのは「24時間365日動かしっぱなしにした場合の電気代はいくらになるのか」という点でしょう。
この記事では、ラズパイの全モデルの消費電力を徹底比較し、具体的な電気代から、誰でも簡単に実践できる節約術まで、私が培ってきたノウハウを余すことなく解説します。この記事を読めば、あなたのラズパイ運用に関する電力の悩みはすべて解決します。
【結論】ラズパイの電気代は驚くほど安い!モデル別比較
ラズパイの大きな魅力の一つは、その驚異的な低消費電力にあります。結論から言うと、ほとんどのモデルは1ヶ月間連続で稼働させても、電気代は数十円から数百円程度に収まります。
一般的なデスクトップPCがアイドル時でも50W以上消費することを考えると、ラズパイがいかに経済的であるかが分かります。これなら、自宅サーバーやIoTデバイスとして24時間稼働させても、電気代を気にする必要はほとんどありません。
主要モデルの消費電力と電気代の目安
まずは論より証拠、主要モデルの消費電力と、それを基に算出した1ヶ月あたりの電気代の目安を表にまとめました。電気代は、何もしていない状態(アイドル時)と、CPUに高い負荷をかけた状態(高負荷時)の2パターンで計算しています。
モデル名 | アイドル時消費電力 | 高負荷時消費電力 | 1ヶ月の電気代(アイドル時) | 1ヶ月の電気代(高負荷時) |
Raspberry Pi 5 | 約3.3W | 約8.0W | 約71円 | 約173円 |
Raspberry Pi 4 B | 約2.7W | 約6.4W | 約58円 | 約138円 |
Raspberry Pi 3 B+ | 約1.9W | 約5.1W | 約41円 | 約110円 |
Raspberry Pi Zero 2 W | 約0.7W | 約2.5W | 約15円 | 約54円 |
※電気料金単価は31円/kWhで計算。
※消費電力は最小構成(ヘッドレス)での参考値です。
この表を見れば、最新で最も高性能なPi 5ですら、常に最大負荷で動かし続けたとしても月々200円に満たないことが分かります。私が自宅で動かしているファイルサーバーや広告ブロックサーバー(Pi-hole)は、ほとんどアイドル状態で稼働しているため、実際の電気代はさらに安価です。
最新モデル「Raspberry Pi 5」の消費電力|性能とのトレードオフ
Raspberry Pi 5は、従来モデルから飛躍的な性能向上を遂げました。その分、消費電力はシリーズの中で最も高くなっています。
特に高負荷時の消費電力は約8Wに達し、かなりの熱を発します。そのため、Pi 5の性能を最大限に引き出すには、冷却ファン付きのケースが事実上必須です。このファン自体も約0.5Wの電力を消費するため、全体の消費電力はさらに増加します。私がPi 5を使うなら、性能が求められるデスクトップPCの代替や、少し重い処理をさせるサーバー用途に限定します。
定番モデル「Raspberry Pi 4 Model B」の消費電力|バランスの取れた選択
Raspberry Pi 4 Model Bは、今でも多くのプロジェクトで活躍するバランスの取れたモデルです。性能と消費電力のバランスが非常に良く、Webサーバーやファイルサーバー、スマートホームハブなど、様々な用途に柔軟に対応できます。
アイドル時の消費電力は3W弱と十分に低く、負荷がかかった場合でもPi 5ほど電力を消費しません。これからラズパイを始める方や、多くの一般的なプロジェクトにおいて、Pi 4は最も信頼性が高く、コストパフォーマンスに優れた選択肢と言えるでしょう。
低消費電力の代表格「Zeroファミリー」|IoTに最適
消費電力を極限まで抑えたいなら、Raspberry Pi Zeroシリーズが最適です。特に「Zero 2 W」は、アイドル時の消費電力が1Wにも満たない驚異的な省エネ性能を誇ります。
この低消費電力は、バッテリーで動作させるプロジェクトや、定期的にセンサーデータを送信するようなIoTデバイスに最適です。負荷時の消費電力は初代Zero Wより高いですが、処理能力が向上した分、タスクを素早く終えてすぐに低消費電力のアイドル状態に戻る「Race to Idle」という考え方においては、むしろエネルギー効率が良い場面もあります。
要注意!ラズパイの消費電力を左右する3つの要因
ラズパイの消費電力は、単にモデルだけで決まるわけではありません。実際の運用では、使い方によって消費電力が大きく変動します。
私が特に重要だと考えているのは、「CPU負荷」「周辺機器の接続」「ネットワーク接続」の3つの要素です。これらの要因を理解し管理することが、賢い電力運用への第一歩です。
CPU負荷|処理が重いほど電力は増える
最も消費電力に影響を与えるのがCPUの負荷率です。ラズパイは、CPUに負荷がかかるとクロック周波数を自動的に引き上げ、処理能力を高めます。それに伴い、消費電力も大きく増加します。
例えばPi 4では、アイドル時の約2.7Wから、高負荷時には6.4W以上へと2倍以上に跳ね上がります。動画のエンコードや大規模な計算など、CPUを酷使するタスクを実行すると、それだけ多くの電力を消費することを覚えておく必要があります。
周辺機器の接続|USB・HDMIも見過ごせない
ラズパイのUSBポートやHDMIポートに接続する周辺機器も、電力消費の要因となります。一つ一つの消費電力は小さくても、積み重なると無視できません。
- USBキーボード・マウス|それぞれ約0.5W
- USB接続のSSD|約1.0W〜3.0W
- HDMIディスプレイ|約0.5W〜1.0W
- カメラモジュール|約0.2W〜0.5W
私がラズパイをデスクトップPCのように使う場合、キーボード、マウス、ディスプレイを接続するだけで、ベースの消費電力に1.5W以上が加算されます。サーバー用途でヘッドレス(ディスプレイやキーボードを接続しない)運用するだけで、大きな節電効果が得られます。
ネットワーク接続|Wi-Fiと有線LAN、どっちが省エネ?
Wi-Fiと有線LAN、どちらもネットワークに接続するために電力を消費しますが、その特性は少し異なります。一般的に、常時接続しておく場合は、有線LANの方がWi-Fiよりもわずかに消費電力が低い傾向にあります。
その差は0.1W〜0.2W程度と小さいですが、24時間365日稼働させるサーバーにとっては、年間で見ると意味のある差になります。設置場所が許すのであれば、私は安定性と省エネの観点から、サーバー用途のラズパイには有線LAN接続を推奨します。
今すぐできる!ラズパイの消費電力を劇的に下げる節約術
ラズパイは元々低消費電力ですが、いくつかの工夫を凝らすことで、さらに電力消費を抑えられます。ここでは、私が実際に試して効果があった節約術を、難易度別に紹介します。
ソフトウェアの設定からハードウェア機能の無効化まで、誰でも簡単に取り組めるものばかりです。これらのテクニックを組み合わせることで、あなたのラズパイは究極の省エネマシンに生まれ変わります。
【ソフトウェア編】OSの選択と設定で賢く節電
最も手軽で効果的な節約術の一つが、OSの選択です。デスクトップ環境(GUI)を含まない「Raspberry Pi OS Lite」や「DietPi」のような軽量OSを導入しましょう。
GUI環境は、それだけで常に一定のリソースと電力を消費します。サーバー用途のように、コマンドライン(CUI)での操作がメインであれば、GUIは不要です。私がサーバーを立てる際は、必ずLite版のOSを選択し、アイドル時の消費電力を最小限に抑えています。
【ハードウェア編】使わない機能はOFFにするのが鉄則
ラズパイに搭載されているハードウェア機能のうち、使用しないものを無効化するのは非常に効果的な節約術です。特にヘッドレスで運用する場合、以下の機能をOFFに設定することをおすすめします。
- HDMI|ディスプレイ出力が不要なら無効化。約0.15Wの節約になります。
- USBコントローラー|USB機器を使わないなら無効化。モデルによりますが、約0.5Wと大きな節約効果が期待できます。
- Wi-Fi / Bluetooth|有線LANを使うなら両方無効化。合わせて約0.2Wの節約になります。
- オンボードLED|小さな電力ですが、無効化して損はありません。
これらの設定は、起動設定ファイル(/boot/config.txtなど)を編集するだけで簡単に行えます。私がサーバーとして運用しているPi 4は、これらの機能をすべて無効化しており、カタログスペックよりもさらに低い消費電力で稼働しています。
【上級者向け】アンダークロックと電源管理HATの活用
より高度な電力管理を目指す上級者向けの方法も紹介します。一つは、CPUの動作周波数と電圧を下げる「アンダークロック/アンダーボルテージ」です。性能は低下しますが、消費電力を直接的に削減できます。ただし、システムの不安定化を招くリスクもあるため、慎重な調整が必須です。
もう一つは、外部ハードウェアを利用する方法です。ラズパイにはPCのようなスリープモードがありませんが、「電源管理HAT」と呼ばれる拡張ボードを使えば、タスクが終了したらラズパイ本体の電源を完全に遮断し、指定した時間に再び起動させられます。間欠動作させるIoTセンサーなど、究極の省電力を追求するプロジェクトで絶大な効果を発揮します。
まとめ|あなたのラズパイ運用に最適な電力管理を見つけよう
この記事では、Raspberry Piのモデル別消費電力から、電気代の目安、そして具体的な節約術までを詳しく解説しました。ラズパイの電気代は驚くほど安く、24時間稼働も全く問題ないことがお分かりいただけたと思います。
重要なのは、自分のプロジェクトの目的に合わせて、最適なモデルと運用方法を選択することです。ただファイルを置くだけのサーバーなら低消費電力のPi 4やZero 2 Wで十分ですし、デスクトップとして使いたいならファン付きのPi 5が最適解です。
そして、使わない機能をソフトウェアやハードウェアレベルで無効化することで、消費電力はさらに削減できます。この記事を参考に、あなたもエコで快適なラズパイライフを始めてみてください。