Raspberry Pi

ラズパイで『マイクラ』を始めよう!導入からサーバー設定まで徹底解説

草壁シトヒ
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Raspberry Pi(ラズパイ)は、手のひらサイズの小さなコンピューターですが、その可能性は無限大です。教育から電子工作、そしてゲームまで、幅広い用途で活躍します。私が特に注目しているのが、ラズパイで世界的に人気のサンドボックスゲーム『Minecraft(マインクラフト)』を動かすことです。

この記事では、ラズパイでマイクラを始めるための準備から、各種エディションの導入方法、快適に遊ぶための最適化テクニック、さらにはサーバーの立て方まで、私が培ってきた知識を基に徹底的に解説します。

この記事を読めば、あなたもラズパイで自分だけのマイクラワールドを構築できるようになります。

ラズパイでマイクラを始める前に知っておきたいこと

ラズパイでマイクラを始めるにあたり、そのユニークな特徴と、利用できるエディションの違いを理解しておくことが重要です。これらを知ることで、あなたの目的に合った最適なマイクラ体験を選択できます。

ラズパイでマイクラを遊ぶメリット

ラズパイでマイクラをプレイすることには、一般的なPCやゲーム機にはない、独自のメリットが存在します。私が考える主な利点は、コストパフォーマンス、教育的価値、そして省電力性の3つです。

低コストで始められる

ラズパイの最大の魅力は、その手頃な価格です。高価なゲーミングPCを用意しなくても、低コストでマイクラの世界に飛び込めます。これからプログラミングやコンピューターの仕組みを学びたい初心者にとって、これ以上ないエントリーポイントになります。

プログラミング学習に最適

ラズパイで利用できる「Minecraft: Pi Edition」には、プログラミング言語Pythonを使ってゲーム内を操作する機能が備わっています。ブロックを自動で配置したり、プレイヤーの位置を移動させたりと、コードを書くことでゲームが変化する様は、プログラミング学習のモチベーションを大いに高めてくれます。

省電力でサーバー運用

ラズパイは消費電力が非常に低いコンピューターです。そのため、24時間稼働させるマイクラの専用サーバーとして運用するのに最適です。電気代を気にすることなく、友人や家族といつでも遊べるプライベートなサーバーを気軽に構築できます。

2種類のマイクラ|Pi EditionとJava Edition

ラズパイでは、主に2種類のマインクラフトを遊ぶことができます。それぞれに特徴と目的があるため、どちらが自分に合っているか見極めましょう。

教育向けの「Minecraft: Pi Edition」

これはラズパイ専用に設計された、少し古いバージョンのマイクラです。サバイバルモードなどはなく、建築や探索がメインのシンプルな内容ですが、前述の通りPythonプログラミングとの連携が最大の特徴です。プログラミング教育ツールとしての側面が強いエディションです。

最新版が遊べる「Minecraft: Java Edition」

こちらはPC版として広く知られている、機能豊富で最新のマイクラです。コミュニティの努力により、ラズパイ上でも動作させることができ、MODを導入したり、本格的なサバイバルやマルチプレイを楽しんだりできます。ただし、快適に遊ぶためには、それなりのスペックを持つラズパイと最適化設定が求められます。

マイクラ用ラズパイの選び方|必須ハードウェアと推奨スペック

ラズパイでマイクラを快適に楽しむためには、適切なハードウェア選びが欠かせません。ここでは、私が推奨するモデルや周辺機器について詳しく解説します。

必要な基本コンポーネント

マイクラを始めるために最低限必要なものをリストアップします。これらがなければ始まらない、基本的なパーツです。

コンポーネント推奨スペック備考
Raspberry Pi 本体Pi 4 または Pi 5パフォーマンスに直結します。
SDカードClass 10以上, 16GB以上OSとゲームデータを保存します。
電源公式推奨のACアダプター安定した電力供給が重要です。
周辺機器キーボード, マウス, モニターPCとして使うための基本セットです。

推奨モデルとRAM容量

どのラズパイモデルを選ぶか、そしてどれくらいのRAM(メモリ)が必要かは、遊びたいマイクラのエディションやプレイスタイルによって変わります。

最適なパフォーマンスならRaspberry Pi 5

最新のRaspberry Pi 5は、旧モデルのPi 4と比較してCPUクロックが大幅に向上しており、Java Editionをプレイする上で最高のパフォーマンスを発揮します。よりスムーズなゲーム体験を求めるなら、Pi 5が間違いなく最良の選択です。

コスパ重視ならRaspberry Pi 4

Raspberry Pi 4も依然として有力な選択肢です。特に4GBや8GBのRAMを搭載したモデルは、小規模なサーバー運用やシングルプレイにおいて十分な性能を持っています。Pi 5より安価に手に入るため、コストを抑えたい場合に適しています。

RAMは多いほど快適

マイクラ、特にJava EditionはRAMを多く消費します。小規模なサーバーなら4GBでも動作しますが、MODを導入したり、多人数でプレイしたりする場合は8GBモデルを推奨します。RAMが多いほど、ゲームは安定し、動作も滑らかになります。

パフォーマンスを左右する重要パーツ

ラズパイ本体以外にも、ゲーム体験の質を大きく左右するパーツがあります。私が特に重要だと考えているのが、ストレージと冷却装置です。

高速なストレージを選ぼう

ゲームのロード時間やワールドの読み込み速度は、ストレージの速さに大きく影響されます。最低でもClass 10の高速なSDカードを選びましょう。さらに快適さを求めるなら、SDカードの代わりにSSD(ソリッドステートドライブ)を使用すると、読み書き速度が劇的に向上し、遅延の少ない安定したプレイが実現します。

冷却ファンは必須アイテム

ラズパイは高負荷がかかると熱を持ち、パフォーマンスが低下する「サーマルスロットリング」という現象が起きます。特にPi 4やPi 5でJava Editionを長時間プレイする場合、アクティブクーラー(冷却ファン)は必須です。安定したパフォーマンスを維持するため、必ず適切な冷却対策を施しましょう。

【実践】ラズパイへのマイクラ導入ステップ

ハードウェアの準備が整ったら、いよいよマイクラをインストールします。ここではPi EditionとJava Edition、それぞれの導入手順を分かりやすく解説します。

Minecraft: Pi Editionのインストール方法

教育版であるPi Editionのインストールは非常に簡単です。ターミナルを使ったコマンド操作に慣れていない方でも、すぐ始められます。

コマンドを使った伝統的な方法

この方法は、Raspberry Pi OSに標準で備わっている機能を使います。

  1. ターミナルを開きます。
  2. sudo apt-get update を実行して、パッケージリストを最新の状態にします。
  3. sudo apt-get install minecraft-pi を実行して、マイクラをインストールします。 これでメニューの「ゲーム」カテゴリにMinecraft Pi Editionが追加されます。

Pi-Appsで簡単にインストール

Pi-Appsというツールを使えば、より新しいラズパイモデルでも互換性を保ったバージョンを簡単にインストールできます。

  1. Pi-Appsを公式サイトの指示に従ってインストールします。
  2. Pi-Appsを起動し、「Games」カテゴリに進みます。
  3. 「Minecraft Pi (Modded)」を探して「Install」をクリックするだけです。

Minecraft: Java Editionのインストール方法

最新版のマイクラを遊ぶためのJava Editionは、Prism Launcherというツールを経由して導入するのが最も簡単で確実です。

Pi-Apps経由のインストールがおすすめ

私が最も推奨する方法は、Pi-Appsを使ってPrism Launcherを導入する方法です。

  1. Pi-Appsを起動し、「Games」カテゴリに移動します。
  2. リストから「Minecraft Java Prism Launcher」を見つけ、「Install」をクリックします。 この方法なら、JavaのインストールやOpenGLの互換性問題など、複雑な設定を自動で処理してくれます。

Prism Launcherの初期設定

インストール後、Prism Launcherを起動します。

  1. 初回起動時にJavaのバージョンを選択します。Minecraft 1.20.5以降をプレイするにはJava 21が必要です。
  2. お持ちのMicrosoftアカウントでログインします。
  3. インスタンスを作成し、遊びたいMinecraftのバージョンを選択すれば、ゲームを開始できます。

ラズパイ版マイクラを快適にする最適化テクニック

ラズパイの限られたリソースでマイクラを快適に動作させるには、いくつかの最適化が必要です。私が実践している効果的なテクニックを紹介します。

OSレベルでの最適化

ゲームを動かす土台となるOS(オペレーティングシステム)の設定を見直すことで、パフォーマンスを向上させます。

64bit OSで性能を引き出す

新しいバージョンのJava Editionを動作させるには、64bit版のRaspberry Pi OSが必須です。64bit OSは32bit版よりも効率的にメモリを扱えるため、全体的なパフォーマンス向上にも繋がります。

サーバー専用なら軽量OSも選択肢

もしラズパイをマイクラサーバーとしてのみ使用するなら、デスクトップ環境を持たない「Raspberry Pi OS Lite」を導入するのも良い方法です。余計なプロセスが動かない分、より多くのリソースをサーバーに割り当てられます。

メモリ管理とオーバークロック

メモリの割り当てを調整したり、CPUの動作クロックを引き上げたりすることで、直接的にパフォーマンスを改善します。

GPUメモリとスワップ領域の調整

config.txtファイルを編集して、グラフィック処理に割り当てるGPUメモリを増やす(例|gpu_mem=256)と、クライアント側の描画性能が向上します。また、メモリが不足した際に一時的に使われるスワップ領域のサイズを増やすことも、特にRAMが少ないモデルでの安定性向上に貢献します。

Java引数の設定で動作を安定させる

Java Editionのサーバーを起動する際には、Javaに割り当てるメモリ量を指定する引数(例|-Xmx2048M -Xms2048M)を設定します。ラズパイの搭載RAMに合わせて適切に設定することで、メモリ不足によるクラッシュを防ぎ、動作を安定させます。

オーバークロックで処理速度を向上(※自己責任で)

CPUの動作周波数(クロック)を定格以上に引き上げるオーバークロックは、処理速度を向上させる強力な手段です。ただし、システムの不安定化や故障のリスクを伴うため、十分な冷却対策を行った上で、自己責任で試みてください。

ゲーム設定とサーバーソフトウェアの最適化

ゲーム内設定や、使用するサーバーソフトウェアを見直すことでも、負荷を大きく軽減できます。

描画距離とエンティティ数の調整

ゲーム内のビデオ設定で「描画距離」を短くすることは、CPUとGPUの負荷を減らす上で最も効果的な方法の一つです。サーバー運用時は、動物やモンスターなどの上限数(エンティティ数)を制限することでも、サーバーの処理負荷を軽減できます。

Paper/Purpurでサーバーを軽量化

Java Editionのサーバーを立てるなら、公式のサーバーソフトウェアではなく、「Paper」や「Purpur」といった最適化されたソフトウェアを使用することを強く推奨します。これらは大幅に軽量化されており、ラズパイのような非力なマシンでも驚くほどスムーズに動作します。

ワールドの事前生成でラグをなくす

プレイヤーが初めて訪れる場所では、ワールドの地形データが生成されるため、一時的に大きな負荷がかかりラグの原因となります。サーバーソフトウェアの機能を使って、あらかじめワールド全体を生成しておくことで、この初回読み込み時のラグをなくすことができます。

よくある問題と解決策|トラブルシューティング

ラズパイでマイクラを運用していると、予期せぬ問題に遭遇することがあります。ここでは、私が経験した代表的なトラブルとその解決策を紹介します。

Minecraft Pi Editionが起動しない場合

Pi Editionが起動しない場合、グラフィック関連の設定が原因であることが多いです。

グラフィックドライバーと解像度の確認

Raspberry Piの設定で、グラフィックドライバーの種類(Legacy/Mesa)を切り替えてみると解決することがあります。また、モニターの解像度が高すぎるとエラーが出ることがあるため、1920×1080(1080p)などの標準的な解像度に変更してみましょう。

Java Editionのクラッシュとパフォーマンス低下

Java Editionがクラッシュしたり、動作が極端に重くなったりするのには、いくつかの典型的な原因があります。

メモリ不足とCPU負荷のチェック

「ゲームが不正な状態で終了しました」というエラーは、メモリ不足が原因の代表例です。Javaへのメモリ割り当てが適切か、スワップ設定が有効かを確認します。動作がカクつく「ティックの遅延」は、CPUの過負荷を示しているため、描画距離を短くしたり、最適化されたサーバーソフトウェアを使ったりして負荷を軽減しましょう。

熱暴走(サーマルスロットリング)を防ぐ

ゲーム中にパフォーマンスが徐々に低下していく場合、熱によるサーマルスロットリングが疑われます。CPU温度を監視し、高温になっている場合は冷却ファンが正しく動作しているか確認し、冷却環境を改善する必要があります。

マルチプレイヤー接続の問題

サーバーを立てて友人と遊ぶ際に、接続できないという問題はよく発生します。

ポートフォワーディングの設定

外部のネットワークからあなたのサーバーに接続してもらうには、ルーターで「ポートフォワーディング」の設定が必要です。具体的には、TCPポート25565への通信を、ラズパイのローカルIPアドレスに転送するよう設定します。

セキュリティ対策を忘れずに

サーバーを公開する際は、セキュリティにも配慮が必要です。サーバーのserver.propertiesファイルでonline-mode=trueに設定し、正規のMinecraftアカウントを持つプレイヤーのみが接続できるようにしましょう。

まとめ

Raspberry PiでMinecraftを動かすことは、単にゲームをプレイする以上の価値を持つ、創造的で教育的な挑戦です。Pi Editionを使えばプログラミングの基礎を楽しく学べ、Java Editionを最適化して動かせば、低コスト・省電力な自分だけのサーバーを運用できます。

確かに、最高のパフォーマンスを求めるなら専用のゲーミングPCには及びません。しかし、ラズパイはその制約の中で工夫し、コンピューターの仕組みを学びながら目標を達成する、という他にはない楽しみ方を提供してくれます。この記事で解説した手順と最適化テクニックを参考に、あなたもぜひ、ラズパイとマイクラが織りなすユニークな世界に足を踏み入れてみてください。

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